限界に挑戦「明日を信じて」

作曲 宮村克彦

(解説)

 一流のミュージシャンであっても、人間である限りギターテクニックには限界があります。そこで、私のギターテクニックの限界は、テンポで言えばどこまでなのか、挑戦をしました。私のギターテクニックの限界を見計らいならアレンジを行っていたので時間がとてもかかりましたが、これ以上の指使いとピッキングの速さは、私には無理です。これからは、リズムに乗れるよう精度を高めるだけです。これから先のテンポの速さは、神の領域です。

 前半は、テンポ108で単音弾きの指さばき・アップ・ダウンのピッキングを中心にして演奏をしています。テンポ108が単音弾きの限界です。連続半音上がり下がりの16譜音符の連続は、ダウン・アップピッキングの限界です。いくら練習をしてもこれ以上速い単音弾きは出来ません。と言うことは、私にとって、テンポ108~120がオルタネイト奏法への変わりどころです。オルタネイト奏法にすれば、速い単音弾きも簡単に弾くことが出来ます。

 後半では、テンポ128で、主にハウマリング・プディング・スウィープの指使い、オルタネイトピッキングを駆使して演奏をしています。タッピングは、どちらか言えばまだ苦手なので1箇所しか使っていません。テンポ140からスタートをしましたが、ハウマリング・プディング・スウィープ・タッピングで速弾きをすると薬指・小指が疲れてきて、指先が痺れてきました。テンポ128が私の速弾きの限界です。それでも、3フレットを人差し指で弾き始めるのか中指で弾き始めて次へつなげた方が短い私の指には次につなげるために有利なのか決心するため何日も試行錯誤をしました。そんなわけで、3日間で1小節しか進まないない息の長いアレンジとなりました。演奏技術を高めるため、安易に指癖の方向に走るのではなく、指癖からの脱却に粘り強い練習と時間が必要でした。指間を伸ばしてフレットを押さえるストレッチにも挑戦をしました。これも私の限界への新たな挑戦となりました。

 今回の「明日を信じて」の演奏は、一流のギターリストにとっては、たやすい演奏者もいるかもしれません。私にとっては、薬指と小指がスムースに動かない、アップのピッキングに不自然感が残る、弦移動のオルタネイトピッキングでリズムが崩れる等、修行的練習を繰り返してのレコーディングになりました。基本練習を確実に自分のものにする大切さも良く分かりました。
これからは、基本練習を自分のものとする努力をしながら、スローテンポの多い私の作品を以前よりも、余裕を持って表情豊かに弾く音楽作りをしたいと思いました。

 では、速弾きは昭和時代を好む8ビートの私にはキャラクター的に不似合いですが、16分音符を中心として、テンポ108での単音弾き、テンポ128での速弾きの指使い・ピッキングにチャレンジした、限界に挑戦「明日を信じて」をお楽しみください。